1-5体力に自信がないほど「良馬」の恩恵は大きい

(承前) この章をはじめからよむ20130727-140648-0八ケ岳aoyama.JPG

ロードバイクは“競争でライバルに勝つため、より速くより強く走るため”の自転車として進歩してきました。ですからその本質は競技の道具であり、相手に勝つためには不便困難に耐えることをいとわないという人のための乗り物です。

競技に必要でない機能はバッサリと切り捨て、逆に少しでも競争で有利になるようなものは貪欲に取り込む、そうして今日のロードバイクができあがってきました。こういったロードバイクの成り立ちをたとえで表すならば、

ロードバイクはいわば自転車のなかの“サラブレッド”

ということができるでしょう。

馬のなかでもサラブレッド種は競争のためだけに育成された最高品種で、その気高いまでの美しさと速度はじつにすばらしいものです。しかし同時にその速さの見返りとしていろいろな美点を失ってもいます。たとえば農耕馬のようにじっくりと大きな力を出す動きには適していませんし、カウボーイの駆る馬のように不整地を長時間走り続ける耐久性もありません。また病気やけがに弱く、養うために手間とオカネを必要とします。このようにロードバイクとサラブレッドにはよく似たところがあるのです。

それではサイクリング初心者がロードバイクに乗ることは“ムリな背伸び、スジ違い”でしょうか。筆者はそうではないと思います。筆者はこれまでにさまざまな種類の自転車に乗って、競技を含めいろいろなスタイルの走りを楽しんできました。そうした経験から筆者は、

「体力のない、自信のない乗り手こそロードバイクの高性能による恩恵を大きく受けられる」

と思います。

ロードバイクは「速さ」という性能を求めるために「軽さ」というメリットを手に入れました。この軽さというメリットは競争に興味のない普通のサイクリングファンにとっても非常に大きな意味があります。軽いバイクであれば重いバイクよりもラクをしながら走ることができます。ラクな走りであるならばもっと長時間乗り続けることができるでしょう。すなわち、

軽い自転車は「もっとラクに、長い時間、遠くまで走れる」自転車

なのです。しかも乗り手が体力に自信のないときほど、自分の限界に近い走りをするときほどこの違いをおおきく実感することができます。筆者がサイクリング初心者のみなさんにもおおいにロードバイクに乗ってもらいたいと思うのはこういう理由です。

(続く)

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