パイオニア・ペダリングモニターシステムの優位性(概説)

ペダモニが好きすぎて、その異次元の優位性を高唱するべく記事を作成しました(先日の英語版の日本語化です)

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  1. パイオニア・ペダリングモニターシステムの優位性
  2. パワーとは
  3. パワーとライダー重量 – W/kg(ワットパーキログラム)
  4. パワーと持続時間 – Mean Maximal Power(MMP、ミーン・マクシマル・パワー)
  5. パワーは「労力」と「効率」の産物
  6. トルク解析:“一次元の”解析システム
  7. 見過ごされ・隠された力の成分
  8. “新次元”:パイオニア・ペダモニによるフォースベクトル解析
  9. フォースベクトル解析で得られるもの
  10. スペシャリストからのアドバイス
  11. その他の情報

パイオニア・ペダリングモニターシステムの優位性

パイオニアの「ペダリングモニターシステム」(ペダモニ)はどの競合製品とも異なり、ペダリングの際の力を“二次元”のベクトル(フォースベクトル)で計測表示します。これによりペダリング効率の分析がより“高次元”で可能になりました。

パワーとは

定義上、パワーとは力(フォース)と 速さ(スピード)の積で得られます。速度の部分で時間の要素が入っているのが単なる力(フォース)と異なる部分です。

バイクを推進するパワーはペダルの駆動によって入力されるので、パワーをペダルの動きに即して表現することができます。

「重いペダルを踏み、速くペダルを回す」ことができるのが大きなパワー

パワーとライダー重量 – W/kg(ワットパーキログラム)

登り主体のコースでは走行抵抗のうち登坂抵抗が大きな割合となるが、その場合移動する質量(体重+機材)が軽く登坂抵抗が小さいとき、同じパワーでもより大きなスピードを得ることができます。したがって、そのようなコースでのライダーの速さの比較には重量を考慮する必要があり、そこでW/kgという指標がひろく使われています。

W/kg=ライダーのパワー/体重

パワーと持続時間 – Mean Maximal Power(MMP、ミーン・マクシマル・パワー)

誰しも経験があることですが、数秒といったごく短時間ならば非常に大きなパワーを発揮することが可能ないっぽう、長い時間となれば維持可能なパワーはぐっと小さくなってしまいます。そこでライダーの能力を評価するには、パワーの持続についての能力をはかる必要がでてきます。その持続時間と限界パワーの相関を扱うのがMMPです。

「目標パワー値を、そのライダーは何秒間維持できるのか?」

ごく短時間の爆発的なパワー発揮に秀でたライダーもいれば(下図B)、中程度のパワーを長時間維持することにたけたライダーもいます(下図A)。これらは選手ごとのタイプの違いとでもいうべきもので個人差があり、これを調べることで競技種目の向き不向きや、今後なすべきトレーニングの方向性の検討資料が得られます。この情報は多くの場合グラフのかたちでまとめられ、MMPグラフと呼ばれています。

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(図1 MMPグラフの例)

上記W/kgを検討する際にも持続時間を考慮する必要があり、一般的には1時間持続しうる最大限界パワー値を基にすることになっています(このパワー値がFunctional Threshold Power (FTP、ファンクショナル・スレッショルド・パワー)と呼ばれるものです)。

パワーは「労力」と「効率」の産物

パワーを高めるにはどうしたらよいか?大別二つのアプローチがあります。

  1. いっそう頑張る=労力を大きくする
  2. バイクの推進を妨げている労力や、推進と無関係の労力を少なくする

 

二番目のアプローチが“ペダリング効率の向上”と呼ばれるものです。多くの場合こちらのほうが最初のアプローチよりもラクで、しかも発展向上の余地がより多くみられます。ペダリング効率向上の道具としてげんざいいくつかのペダリング解析システムがありますが、それらはパワーメーターセンサーと解析ソフトウェアとで成り立っています。

トルク解析:“一次元の”解析システム

まず一般的にみられる解析システムである「トルク解析」を見てみましょう。

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(図2 トルクグラフ。赤部分がポジティブなトルクを、青部分がネガティブなトルクを表している)

パワーメーターはふつうバイクの回転部分(クランクセットやペダル、後輪ハブなど)にセンサーを設けてそこにかかる力を計測していますが、多くの製品はかかる力の一部だけ、つまり回転運動の接線方向に働く力の成分だけを扱っており、この接線方向の力(力成分)の大きさと回転運動におけるてこの腕の長さ(クランク長さやリヤハブボディ半径など)から回転軸におけるトルクを算出しています。

一部のパワーメーターではセンサーが左右のペダリングの力を別々にとらえるように設けられており(クランクないしペダルの右または左だけ、あるいは左右に独立して力センサーが置かれる構成)、こうした“左右独立型”のメーターでは「ネガティブな」トルクを扱うこともできるのです。

「ポジティブな」トルクとはバイクの推進に寄与するトルクで、「ネガティブな」トルクとは反対側のペダルないしクランクで発生したポジティブなトルクを相殺してしまう逆方向のトルクです。左右のクランクが一体としてつながっているためにこうしたトルクの相殺が起こります。

こうしたトルク計測型システムを用いてある種のペダリング解析が行われており、「トルク解析」と呼ばれています。下のリンクで解説されている「トルク・エフェクティブネス」「ペダル・スムーズネス」といった指標はその好例です。

https://www.cyclinganalytics.com/blog/2014/04/torque-effectiveness-and-pedal-smoothness(外部サイト。英語。別ウィンドウにて)

筆者の理解ではこうしたトルクによるペダリング解析はいわば“一次元”の解析手法といえます。なぜなら円環上の運動は無限の延長をもつ直線運動と変わらないからです。トルク解析のシステムはこのようなただ一筋の軌道上に作用する力を観察評価しているにすぎません。

見過ごされ・隠された力の成分

しかし実際のところ、ペダルにかかる力が純粋に接線方向であることはきわめてまれで、接線方向の力成分と法線方向の力成分をあわせ含むのがむしろ普通です。このような現実のもとでは、上記の“一次元の”解析システムは現にはたらいている力の全体像をとらえ得ているとはとうてい言えないでしょう。

現実にバイクを推進しているパワーの大小を測る装置としてだけであれば“一次元”の機材にはなんの不足もありません。しかしライディングの効率を高めることを目的としてペダリングにおける力の解析をおこなうという任務にたいしては、“一次元”のシステムは惨憺ともいうべきほどに不十分なのです。


 

一例をあげましょう。“一次元”のシステムが100Nの力を検知したとします(接線方向)。この場合、実際にペダルにかかった力は純粋に接線方向に加えられた100Nの力であることもあり得ますが、115Nの大きさで30度だけ接線方向から外れており、58Nの法線方向の“見過ごされ・隠された力の成分”がある、ということも同じようにあり得ます。“一次元”のシステムではこのまったく異なるふたつを区別できないのです。

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(図3 接線方向の力はまったく異なる大きさ/方向に働いた実際の力の投影に過ぎないということもある)

“新次元”:パイオニア・ペダモニによるフォースベクトル解析

パイオニアのペダモニで使われているセンサーは他社とは全く異なります。通常の接線方向に加え、さらに設置された別のセンサーユニットで法線方向の力成分もとらえることができるのです。

この法線方向の力成分は接線方向の成分と相まって力の方向をその上に表示できる“二次元”の平面を構成します。そして現実に働く力がベクトル(大きさと方向を備えた値)としてこの平面上に二次元表示されるのです。

これはまさしくペダリング解析における画期的な“新次元”です。

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(図4 ペダモニによるフォースベクトルグラフ)

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(図5 トルクグラフとフォースベクトルグラフの比較。同じ走行記録を解析したもの。どちらのグラフがペダリング解析として有意義でしょうか?)

フォースベクトル解析で得られるもの

 1)ペダリング技術の進歩

ペダモニはペダルにかかる現実の力の全体像をフォースベクトルで二次元で表示するので、バイクの推進を妨げている力成分や推進と無関係の力成分を可視化できます。

多くの場合、こうしたバイクの推進を妨げている力成分や推進と無関係の力成分は無駄な筋活動または不適切な運動パターンの結果であり、こうした成分を減らそうと努めることでペダリング技術を高めることができます。

注意してもらいたいのが、推進と無関係の力成分のすべてが無駄であり抹消すべきものというわけではありません。重力および慣性に起因する力成分もペダリングにおいては働いているためです(下図参照)。

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(図6 データは400W努力中のもの。HIGH-TECH CYCLING second edition (p131) by E.R. Burke, PhD Human Kinetics, 2003より引用)

2)体の左右バランスについての情報

筆者はバイクフィッティングの経験が多数ありますが、左右で動きが完璧にバランスしている人はほとんどいません。

ペダモニのフォースベクトル情報に左右のアンバランスがあったとしたら、それは体の動きのアンバランスの反映です。この情報は対策を考える基盤にもなります。

もしもあなたが体の片側だけに関連する痛みや弱さ、不安定性を抱えているとしたらフォースベクトルはそれを反映した特徴を示すでしょうし、もしかしたらその症状の原因を示唆する特徴もあるかもしれません。フォースベクトル情報に基づいて痛みやけがについて予防・対策するような方策を立てるとか、ふさわしい補助運動などを立案するとかもできそうです。

スペシャリストからのアドバイス

ペダモニが扱うことのできる情報は厖大で、その活用法がひろく確立されているとはまだいえません。しかしパイオニアのウェブサイトには各界のスペシャリストによるペダモニの活用事例やヒントが掲載されており、必見です。

Pedaling Monitor System vs Specialist http://pioneer-cyclesports.com/jp/contents/specialist/

「ペダリングモニターシステム活用のヒント」

「各界のスペシャリストの視点によるペダリングモニターシステムについてのレポートを頂きました。トレーニングや実戦における具体的なシステム活用事例を紹介します。」

スペシャリストその1 須田 晋太郎 (株式会社ウォークライド・シクロアカデミア事業部主任インストラクター)

「Cyclo-Sphere指南 データ解析&活用術」

“自転車競技に深い関わりを持つ須田晋太郎コーチがプロアスリート達と共有した経験を基に、データを分析し強化ポイントを的確にアドバイス!”

スペシャリストその2 浅田 顕 (エキップアサダ監督 株式会社シクリズムジャポン代表)

「実戦コーチング視点でのペダリングデータ解析」

“ペダリングモニターシステムのデータを実戦にどのように活かせるかコーチングの視点からヒルクライム→スプリント/アタック→集団→ローテーション→タイムトライアルの5つのシーンに分けて紹介。”

スペシャリストその3 柿木 克之 (Blue Wych 代表 工学博士)※我が国の自転車パワートレーニングの第一人者です。

「新しい解析手法の探索とトレーニング手法の検証」

“ペダリングモニターシステムの機能を活用して科学的知見からトレーニングメニューの確立を図り、選手育成に繋げる。”

その他の情報

パイオニア提供の必見情報はほかにもあります。

1)トレーニングアシスト

「トレーニングアシスト」(トレアシ)はスマホをベースにしたコーチングサービスで、なんと無償で提供されています。

ペダモニシステムの優位性はその機材独自の高性能だけではありません。むしろ解析システム全体としての優れた機能にこそその真価があるといえるでしょう。ライダーの走りを記録したログデータは、クラウド上のサービスである「シクロスフィア」にアップロードされそこで解析されます。その結果はライダーが(そのコーチたちも)PCやスマホを使ってどこからでも自由に閲覧できるのです。

トレアシはスマホで利用できるシクロスフィアの一機能です。トレアシはライダーのログデータをもとに自動的に適切な内容のトレーニングプランを作成して提案します。またこれとならんでそのトレーニングの意義や注意点など必要な情報をコンパクトに提示してくれます。まるでパーソナルコーチングを利用しているような使い心地です。

そのうえ、トレアシを使い始めるにはペダモニをまだ持っていなくても大丈夫です。心拍系やスピードメーターなどといった基礎的な測定器具さえあれば、トレアシのサービスを試してみることができるのです。

シクロスフィアのアカウント作成と利用は完全無料です。ぜひ試してみてください。

シクロスフィア https://cyclo-sphere.com/index

シクロスフィア・ヘルプページ https://cyclo-sphere.com/help//faq/help_faq_service_33

2)パイオニア公式サイト

公式サイトにはほかにもペダモニについての役立つ情報が満載です。ぜひチェックしてみてください。

パイオニア公式サイト http://pioneer-cyclesports.com/jp/

SGX-CA500コンピューター・ユーザーガイド http://pioneer.jp/support/manual/cycle/sgx-ca500/


 

この記事があなたのニーズに合ったパワーメーターやペダモニを選ぶ助けになれば幸いです。読んでくださって感謝!

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