2-1)“高からず、安からず”の価格帯がおすすめ

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初心者のロードバイク選びで「まったく手掛かりがない」というばあい、当店ではまず予算を大まかに区切ってしまうのをおすすめしています。あとで見るように、安すぎても高すぎてもあまりおすすめでない事情があるのです。

入門モデルは12万円から

ではロードバイクを購入するとした場合、どのくらいの費用を最低限用意するべきでしょうか。一般的なロードバイクサイクリング初心者の場合、車体そのものに対して12~15万円ぐらいを投じれば十分な性能のバイクが手に入ります。

これは初心者が草レースに出てもさほど困らないぐらい、選手がレースで使うとしたらトップを狙うなら不足があるものの、レースにただ参加するだけならまずまず問題ない(ホイールは別)というぐらい十分な性能を備えたものです。車体の素材や重量に言い換えると、アルミ合金製フレームのバイクで車体重量は9kg強くらいになるでしょうか。

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入門バイク具体例(メーカーサイトより転載。コルナゴ・2017年モンドティアグラ 税別15万円)

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入門バイク具体例(メーカーサイトより転載。ブリヂストンアンカー・2017年RL6EX 税別12.5万円)

安すぎるバイクだと・・・

これ以下の価格帯のバイクだともっと低級の素材や部品を使わなければならないので、壊れないように車体全体がだいぶ重たくなります。ロードバイクの最大の魅力である「軽さ」の点で差がつくわけです。一見するとドロップハンドルと細いタイヤでロードバイクのように見える自転車であっても、そういう廉価なバイクは走ってみるとむしろクロスバイクというレース用ではない車種に近い乗車感覚になります。

もっとも廉価のバイクは日常のやや手荒な扱いを見越して積極的に頑丈に設計されるという面もありますので、かりにそういう用途であるなら廉価なバイクのほうがむしろ目的にかなうということもあります。

高いバイクほどいいとはいえない!

いっぽう車体そのものがもっと高価になる場合はどうでしょうか。ある程度高額なロードバイクはここ数年の傾向からごくおおまかにいうと、「20~25万円」、「40~50万円」、さらにそれ以上というようにグループ分けすることができるように思います。おおよそ“倍々ゲーム”になっているイメージです。

高額なロードバイクの値段の理由は、多くは構成要素の質の違いとして説明がつきます。ロードバイクの構成要素は大まかに4つに分けて考えることができます。

  • 車体の枠組みである「フレームセット」
  • 前後の車輪である「ホイールセット」
  • 駆動や制動など車体のコントロールをつかさどる機械部品である「グループセットまたはコンポーネント」
  • サドルやハンドルなど残りの部分

以上の4つです。そしてこれら4要素のそれぞれについて品質のよしあしがあるのです。

車両価格「20~25万円」クラスだと車体の材料としてカーボンファイバーが選べるようになります。これは高価だが軽く強いバイクを作るのに適した素材です。ただしカーボン素材にも優劣があってこの価格帯で使える素材は中級グレードのカーボンにとどまります。グループセットをはじめとした部品類も一段と軽いものを使えるようになり、車体重量は8kg強まで軽くなります。

「40~50万円」クラスになると、フレーム素材は洗練された高級カーボンになり、部品類もアマチュアトップクラスから一部プロレーサーにとっても性能に不満のない域に達します。車体重量でいうと7kg強ぐらいが目安でしょうか。そしてさらにこれ以上の価格帯となると航空宇宙グレードのカーボンやチタンといった特殊素材の使用、別注製作のフレーム、超高級な車輪、回転部分に贅沢なセラミックベアリングが使われる、といったきわめて趣味性・希少性の高いバイクになってゆきます。

4要素のうちホイールセットは機材特性が走りの質をとくに大きく左右する部分です。空気抵抗がさほど問題にならない上り坂や低速時には軽量なものが楽に走れる一方、高速走行では軽さを犠牲にしてでも空気抵抗を削減できる形のほうがふさわしい場合もあります。これは乗りかたの好みとも相通ずるもので、どういうホイールセットが最適かはひとくくりには言えません。ただ、どちらの傾向のホイールを選ぶにせよ高価なものはその価格に見合った高性能を期待することができます。

このように高額なバイクになってくるとそのメリットを初心者レベルで100パーセント感じ取るのは難しいという場合も出てきます。しかも一般的には価格が高くなるほど体感できる“違い”が微妙になってきます。まるで経済学でいう“限界効果逓減の法則”そのものです。それに加えて高性能とひきかえに構造や取扱いがいっそうデリケートになる場合もあり、初心者がいきなり手を出すにはなおいっそうの注意が必要になってきます。

現在のところ、予算に余裕のあるロードバイク入門者にとって“高い金額を出しただけの違いが機能上ハッキリと感じ取れる”という限界の価格はおおよそ30~40万円くらいでしょう。それ以上の金額のバイクは機能面に限っていうならば“過剰性能”になるおそれがあると思います。

“高ければいい(誰にとってもいい)というわけではない”

“高いモノほど扱いがデリケートで良さを味わうにも素養を要求される”

というようなところは、まるで究極の嗜好品であるワインの扱いに通じるものがあります。

ところでスポーツバイクの性能と価格の関係について、キース・ボントレガーというアメリカ人がとてもいいことをいいました。これにはスポーツバイクの経験が深い人ほど納得してもらえることでしょう。

“軽量、頑丈、お手頃。このうち二つなら両立できる。だが三つとも手にすることはできない”

(続く)

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