2-4)“これだ!”と感じる一台にめぐりあうための“攻めの発想”

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前の節ではロードバイクを選ぶときに“避けたほうがいいこと”について述べました。でもこれだけを考えていても本当に幸せなバイク選びはできません。本当に楽しくなれる、自分にぴったりのバイクを積極的に選び出すにはどうしたらよいでしょうか。今度はバイク選びにおける、いわば“攻めの思考方法”について説明しましょう。

ロードバイクとはたいへん高価な自転車です。昨今ホームセンターに行けばお買い物用のミニサイクルが1~2万円程度で並んでいます。つまりロードバイクとは一般の自転車の10倍以上する“超高級な”自転車なのです。いったいどこにその価値があるのでしょうか。もちろん圧倒的な走行性能がその重要な要素であることはまちがいありません。しかしそれだけでこのような極端な価格の違いをすべて説明することはできないでしょう。自分はロードバイクの価値の本質、価格の理由は“ロードバイクが夢の乗り物、ドリームマシンであること”だと思っています。

“ロードバイクは夢の乗り物、ドリームマシン”

この“夢の乗り物”であるということの中身として、ひとつには乗り手の思い通りに、いやむしろ期待以上にうまく楽しく走ることができる走行性能があります。しかしそれだけでなく見た目の美しさやイメージについてまでも“これが最高”と思えるものであってこそこの価格が正当化されるのだと自分は考えています。

そのバイクの持つ“ストーリー”や“スタイル”を楽しもう

見た目やイメージについて具体的にみていくと、まずブランドや生産国の持つイメージを挙げるべきでしょう。自転車を使ったレースやサイクリングといった活動にはすでに100年以上の歴史があります。そのなかで名をとどろかせた名門ブランドや、それを駆って活躍した英雄的な選手たちの華々しいイメージを自分自身のバイクに投影できるというのは楽しいものです。

ブランドの生産国によってもイメージが異なります。“乗ってみればわかる”的な、単なる数値には表しきれない“走りの良さ”を追求するのが多くのヨーロピアンブランドだとすれば、荷重試験や空力試験など科学的数値的アプローチで高性能を追及するのが北米系ブランドの得意技だったりするわけです。

欧州系と北米系とではバイクづくりの哲学が違う

ブランドや生産国といった背景的情報とは別に、具体的に購入を考えているその特定のモデルについてどれだけ魅力を発見できるかももちろん重要です。たとえばフレーム素材については現代科学の粋を結集したカーボン素材も魅力的ですし、歴史に裏打ちされた細身で端正なシルエットのスチール素材もまた別の魅力を放っています。バイクの造形やペイントによる見た目の印象はとりわけ重要です。

信頼できるブランドのなかから同価格帯で同種フレーム素材のバイクを集めた場合、そのバイクの得意分野(レース向けか、ロングライド・サイクリング向けかなど)を間違わなければ候補となったバイクのあいだに絶対的な性能差はそうそうありません。だからこそ走行性能以外の要素、とりわけ見た目の好き嫌いがバイクとの相性をはかるうえで重要になってくるのです。ですから遠慮したりせずに見た目でバイクの好き嫌いを感じながら自分の一台を探すのがお勧めです。たとえばご婦人が洋服やバッグ、靴などを買うときのように、“このバイクに乗っている自分はどう見えるだろう”とバイクを実際に手に入れた場面を想像してみるのもよい方法です。

バイクの見た目について考える時、ひとつ落とし穴があります。それはバイクにはサイズがあるということです(後述予定)。ショップの店頭で実物に触れるときでもカタログの写真を見るときでも、実際に目にできるのはある特定のサイズになることが通常です。しかしその見たサイズがそのまま自分にふさわしいサイズであるとは限りません。そして別のサイズのバイクは見た目の印象がことなることが多いのです。

ロードバイクはホイールのサイズが一定ですから、小さめや大きめのサイズのバイクではバイク全体のプロポーションが変わって見た目の印象が変わります。とくに小さめのバイクになるときにプロポーション上での違和感を訴えるライダーが多いように思います。ですからこの点はこれからバイクを買おうとする人に念頭に置いておいていただくと安全だと思います。同時にバイクメーカー各社に対しても要望があります。せめて各社ウェブサイトの製品紹介の中に、ラインナップの全サイズ・全カラーの写真を掲載してほしいのです。ブリヂストンアンカーのように何十色もの選択肢があるのならともかく、1~5色しか選択肢がない現状ではさほど困難とはいえないと思います。そしてむしろこうした手間を惜しまない姿勢が自社製品に対する自信と愛着、ユーザーへの思いやりの表現として将来のファン獲得につながり、ひいてはメーカー自身の利益にもつながるのではないでしょうか。

メーカーへの希望:生産する全モデル・全カラー・全サイズの大きめの写真を公開してほしい。バイク選びに見た目のバランス・プロポーションは大切なのです。

眺めているだけで心が満たされるような“運命の一台”を

“夢の乗り物”たるロードバイクは乗り心地も当然完璧でなくてはいけません。もちろん予算の都合で使える素材や部品は限られますが、その制約のなかで信頼できるショップのスタッフにじっくり要望を汲み取ってもらい、プロの選定眼で推薦してもらった候補のなかから一台を選びだし、さらに自分にピッタリになるように丁寧に調整をしてもらうのです。

そうして手に入れた一台であれば、そのバイクに対する信頼や愛着も格別になるはずです。またこうやって丁寧に用意されたバイクなら、走った時にも安心・安全で、違和感や痛みなどもなく楽しく爽快に走ることができるでしょう。強く愛着を持てるバイクを手に入れることはその後のロードバイクとのつきあい方に少なからず影響を及ぼします。お気に入りのバイクだから頻繁に乗りたくなる、たくさん乗るほどバイクになじんでうまく走れるようになる、お気に入りだからいつもきれいにしておきたくなる、いつもきれいなので大事に扱い機材の故障も事前に気付いて危険を避けられる、といったぐあいに好ましい循環が生まれるのです。

【ロードバイク幸せの循環法則】そのバイクが好き→もっと乗りたくなる→たくさん乗るほど慣れてくる→慣れるほど安心安全で楽しくなる。そのバイクが好き→大事にする→すこしの故障も早く気づいて安全。

ようするに見た目も性能もフィット感も完璧なバイク、たとえばお酒が好きな人がリビングルームに飾った自分のロードバイクを眺めているだけで楽しくなっておいしいお酒が飲める、そんなふうに乗り手の心を満たしてくれるのがその人にとっての”最高のロードバイク“です。

眺めているだけでもお酒がおいしくなる、そういうバイクを見つけよう

(続く)

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