3-6)足を固定できるペダル(ビンディングペダル)について

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ロードバイクの真の性能を開放するカギ

今日本格的にロードバイクを乗りこなしている人はほぼ例外なく、“足を固定できるペダル”を使っています。この固定式ペダルは別名「ビンディングペダル」ともいいます。足をペダルに固定するとペダルを漕ぐ動作が“より正確に”、“より無駄なく”できるようになり、とくにその乗り手の力の限界に近い状況での走りやすさに違いが出ます。いわばロードバイクの真の性能を開放するカギがこのビンディングペダルシステムなのです。

ビンディングペダルは“ペダル本体”とこれにぴったりはまりあう付属部品である“クリート”とで成り立っており、クリートをビンディングペダル専用規格の“サイクリングシューズ”の底にボルトで取り付けて使います。このクリートがペダルにはまりこむことでシューズがペダルに固定されるのです。

1980年代までペダルに足を固定するには「トークリップ&トーストラップ」という部品を使っていました。ワンタッチで締め緩めのできる革製のストラップで靴をペダルに縛り付けていたのです。今日でもスタイル重視のクラシックなバイクや、ケイリンなどのトラック競技では必須の装備です。

この「トークリップ&ストラップ」方式だと、固定した足を外すときにはかならず体をかがめてペダルのストラップに手を伸ばさなければならず、とっさのときの解除には不便で、危険でもありました。そこでスキーブーツのビンディングの構造を流用して作られたのが今日隆盛のビンディングペダルの元祖、「ルックペダル」です(ルック社(仏)はスキー用品のトップメーカー)。

ルックペダルは当時のトップ選手、ベルナール・イノーがさっそく採用して華々しい成績をおさめたことから急速に普及しました。新しい構造の「ビンディングぺダル」は、靴を固定するときにストラップの締め加減の微調整がいらない(=自動で固定される)ので手軽で、またとっさの時には脚をひねるだけでペダルから靴を外すことができるので安全性が大幅に向上しました。こうした特質を反映して「オートマチック・ペダル」、「セーフティ・ペダル」等という呼称も海外では使われています。

はじめからビンディングペダルを使うべき?

ビンディングペダルをロードバイク初心者にはじめから使わせるべきか否かについては賛否両論があります。“ロードバイクの性能を100%活かすためには必須であるし、遅かれ早かれ使うことになるのなら最初から慣れたほうがいい”という推進論にも一理あります。しかし筆者は、ロードバイク初心者はとくに事情がない限りビンディングでない普通のペダルと運動靴で乗りはじめたほうがよいと考えています。

その最大の理由は「安心、安全」にあります。一般公道にはほかのクルマや自転車、歩行者などがいて、自転車はときに応じて減速したり停車したりしなければなりません。当然とっさの対応が求められることもあり、自在に停車して足をつくことができなければ自分や他人を傷つけてしまう可能性があります。いっぽう、ビンディングペダルではとっさに足をつくためには“ペダルを外す”というひとつよけいなステップが必要で、しかもこの動作にはある程度の慣れが必要です。ロードバイクは “サドルが高い”、“ハンドルが特殊なドロップハンドル”、“タイヤが細い”など初心者にとってはただでさえいろいろな面で不慣れな道具であるのに、さらに加えて“足がペダルに固定されてとっさに足をつくのが難しい”というハードルまでいっぺんに克服することを求めるのは筆者としては難しすぎると思うのです。

ビンディングペダルがうまくはずせなかったためにごく低速でバランスを崩して転ぶことを俗に「立ちゴケ」といいます。これは体が痛いだけでなくかっこわるくてひどく恥ずかしいものです。それだけでなく、もしもこの「立ちゴケ」を交通量の多い道路でしてしまったらどうでしょう。想像もしたくないほど危険なことのはずです。

ロードバイクの性能を100%活かし、思い通りにバイクを乗りこなすうえでビンディングペダルはたいへん有効なもので、ロードバイク初心者にもいずれは使えるようになってほしい装備です。しかしそれを安全に使いこなすためにはロードバイクの扱い方についてまずある程度慣れる必要があります。すくなくともビンディングペダルを使うまえに、先に紹介した“片足たちのり”が自由にできるようになること、また走り出す前にビンディングペダルの脱着を十分に練習しておくことが必須です。ペダルをはめて走り出してしまえばそこはもう“転ぶか転ばないか、ケガをするかしないか”の“真剣勝負”の世界です。心構えも十分せずにいきなりそこに飛び込もうというのは無謀というほかないでしょう。

固定式ペダルはロードバイクの真の性能を開放するカギ

初心者はロードバイクそのものに慣れてからの「固定式ペダル・デビュー」がおすすめ

仕組み~固定式ペダルはクリートという部品を介してペダルと専用シューズを結合する

 


第三章「ロードバイクの運転」はこの記事で終了です。参考になりましたか?

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