ドロップハンドルのサイズとかたち

ロードバイクのドロップハンドルにはいろいろなサイズ・かたちがあります。いまのハンドルがしっくりこない、ブラケットは快適に握れるのに下ハンドルは手が届きにくい、など現状に不満があるならハンドルの交換を検討するのもいいでしょう。

(今のハンドルのままでも幅広く調整が試せることについてはこちら(過去記事)をぜひどうぞ)※2018/12/07画像1点追加(デダのハンドル形状資料)

ハンドル交換にあたってはいくつかチェックポイントがあります。

  • 互換性。合わないものはそもそも取り付けられません。
  • ハンドルのサイズの見方(サイズの表記方式)の確認。思ったのと違う実寸のハンドルを注文してしまう危険があります。
  • お目当てのハンドルの形状の特徴。その1はドロップ部分の形状(リーチとドロップ)
  • ハンドル形状の特徴その2はドロップ部分の「フレア」や「後ろ広がり」
  • ハンドル形状の特徴その3は、その他「肩の曲がり方」、「バックスイープ」など

ハンドルの互換性=「ステムクランプ径」

ハンドルの互換性はハンドルステムにクランプされる中央部分の直径、「ステムクランプ径」で決まります。実はいろいろあります。

  • 25.4mm。お買物自転車、トラックレーサー、クロモリロードなど。
  • 26.0mm。1980年代以降のロードバイクで、クランプ部分が細めに見えるものはこのサイズが多い。しかし似たサイズも多いので要確認(下記)。
  • 31.8mm。現在の大多数のロードバイクのハンドルクランプ径がこれ。カーボンやアルミバイクの太めチューブと相性がいい(外見や剛性の面で)。
  • 31.7mm。デダ・エレメンティ社の独自規格。公式には上記31.8mmと互換性がない。
  • 35.0mm。こちらもデダ社の独自規格。
  • 25.8mm。1990年代に一世を風靡したITM社の規格。26.0mmと似ているが互換性はない。間違って組み合わせると事故(破断・固定不足など)の危険がおおきい。
  • 26.4mm。1990年代ごろまでのチネリ社の独自規格。一時は同じモデルながら26.0mmのモデルも併売されていたので紛らわしい。

ということで普通に現代のバイクを整備するなら31.8mmでほぼ間違いないが、レトロ風なバイクの場合、目見当だけで規格をちゃんと調べないと大変なことになります。


ハンドルのサイズの見方(ハンドル幅の表記方式)

ドロップハンドルのサイズというと通常はハンドル幅のことをいい、その表記方法は大別二通りです。

  • 「外~外(ソトソト)表記」。ハンドルエンド部分の一方の外縁から他方の外縁までをはかる方式。英語だとOutside-to-outside。現在主要なドロップハンドルメーカーだとデダ社だけがこの表記を採用している。
  • 「芯~芯(シンシン)表記」。伝統的定義だと、一方のハンドルエンド部分の断面円の中心から他方の中心までを測る方式。英語だとCenter-to-center。

もっとも最近はドロップ部の形状が多様化してきているため(後述)、ハンドルエンド部分ではなく、ハンドルの肩部分=ブレーキレバーブラケットが取り付けられる部分のハンドル断面円の中心同志をはかる、いわば「肩部分のシンシン表記」が台頭してきています。現在高品質で有力なフィジークのハンドルバーがその代表です。

ドロップハンドルでは多くの時間をブラケット周辺を握って走るため、実質上もっとも重要なのはブラケットの幅であろうと思います。したがってハンドル幅を選ぶときは「肩部分の幅」が重要といえるでしょう。


リーチとドロップ

幅以外のドロップハンドルのサイズ要素としてよく上げられるのがこの二つです。しかし、これら二つの定義が理解されていない情報が散見されるので、まず定義を押さえましょう。図を見るとイメージしやすいです。

s-CIMG0179((株)日東のカタログより転載)

deda_handlebar

(カワシマサイクルサプライ・ウェブサイトから転載。デダ社のハンドル形状ラインナップ)

リーチとドロップの測定に際しては、

  • ハンドル末端部を水平に保持し(ココ大事!)、ハンドルを真横から見る。
  • ハンドルを丸いチューブを曲げて作ったものと仮定してその中心線(芯)を想定し、その芯同士の距離を測定します。
  • リーチはハンドルクランプ部からドロップ部前端までの水平距離、
  • ドロップはハンドルクランプ部からドロップ部下端(水平部分)までの垂直距離

というのが伝統的な理解・定義です(ちがう計りかたをしていたメーカーもあったようですが不詳)。

リーチとドロップ、これらの数値はもちろん重要なのですが、それ以上に大事なのはドロップ部が具体的にどういう曲がりかたをしているか、です。じつにいろいろな形のドロップ部があります。

これらの具体的な意味や得失についてはこちらの記事も是非ご覧ください。


ドロップ部分の「フレア」や「後ろ広がり」

ここからはややマニアックになります。普通のイメージだとドロップ部はハンドル肩から下がっているときに、“前から見て垂直下方向に”下がっているように思われますが、そうではないハンドルもいろいろあるのです。

s-CIMG0178.jpg((株)日東のカタログより転載)

上写真の上段、Neat Mod.185は前から見てドロップ部が真下に下がっています。しかし下段のB105AAは、よく見ると下側が広がっています。これが「フレア」です。フレアのあるハンドルだと、

  • 下ハンドルをもって力走したときに前腕内側がハンドル肩に当たりにくい(1)
  • 下ハンドルの奥を握ったときに脇が締まりすぎない
  • 手元変速レバー(STIやエルゴレバー)の操作部が少し上を向くので操作しやすい

といった使用感の味付けとなります。B105AAは1980年代以前からある日東の大定番モデルなのですが、フレアがあるのは(1)が理由だと聞いた覚えがあります。

モダンなハンドルだと、まずフィジークのハンドルにはフレアがあります。フレアがあるからこそハンドル幅測定の基準点をエンドにするかブラケット取り付け部位にするかが問題となり、フィジークはブラケットを基準とすることを宣言したわけです。ほかにもデダのRHMシリーズにはフレアがありますし、3Tの一部モデルにもありますね。

フレアのあるなしはハンドルの実寸幅に影響する。各社の幅表記方法とともに実際にフレアの有無を確認してハンドルを選ぼう

最近は砂利道(グラヴェルロード)を走るロードバイクが人気です。そういうグラヴェルロードバイクのハンドルは、ドロップ部分の後方が開いた形になっていることがあります。

s-CIMG0177

((株)日東のカタログより転載)

上写真のRM-3はかなり極端な例ですが、こうした「後ろ広がり」を付けることで不安定な砂利道での操縦性が上がるとされています。冒険ライド、楽しそうですね。そしてこういうハンドルの実際の幅感覚や使用感は、それこそもう握ってみないとわかりません。


その他、肩の曲がり具合やバックスイープなど

上ハンドルからドロップにかけて前方に曲がりながら下がってゆく部分を「ハンドルの肩」といいます。この部分の曲率の大小によってハンドルの握り心地に違いが生まれます。

((株)日東のカタログより転載)

上の写真左は肩の曲率が小さい例です。肩が張っていますね。多くのロードレーサー用ハンドルがこういう曲がり方です。いっぽう写真右はトレックレーサー用のハンドルです。なで肩で曲率が非常に大きいのがわかります。

曲率が大きいと、

  • ハンドルクランプからドロップ部までが短い距離で結ばれるのでハンドルの剛性があがり、大きなパワーがかかるトラックレースなどでたわみが少なくなる
  • 下ハンドルをもって力走したときに前腕内側がハンドルの肩にあたりにくくなる
  • ハンドルのリーチが長くなりやすい
  • ブラケットからハンドル肩にわたる部分を、ブラケットの延長として握る(つまり親指がハンドルの前にいく)握り方がしにくい

という傾向があります。

また肩の曲率の大きなハンドルは実際上リーチ・ドロップとも大き目のデザインのものが多いです。したがって、小柄な人や初心者でリーチ・ドロップを小さめにまとめておきたい場合には不向きです。

s-CIMG0183.jpg

(東京サンエスのカタログより転載)

次は「バックスイープ」について。上写真の下右図のように、上ハンドルが手前に戻っていることを「バックスイープがある」といいます。これがあると、

  • 上ハンドルを持ったとき、脇が適度にしまりやすい
  • スイープしたぶんハンドルのリーチを小さくできる

という効果がでます。とくに後者については、単にリーチをあまりに小さくすると、ハンドル曲げ加工上の制約から「ハンドル肩からブラケットにかけての、“一体としてうえから握れる面”」が小さくなりすぎ、この部分が握りにくくなってしまうことがあるのですが、バックスイープはそれを避けるうまい工夫のひとつだといえます。

コンパクトシャロータイプなど最新のかたちのハンドルバーでは、ブラケット上面からハンドルの肩部分にわたって比較的フラットに面がつながっていて、一体として“うえから握れる面”をかたちづくっています。(当店過去記事より)

ランドナーバーについて。1970年代に流行った旅行用の自転車であるランドナーには独特なドロップハンドルがついているものがありました。下写真がその例です。

s-CIMG0182

((株)日東のカタログより転載)

ランドナーバーはリーチが長いこと、横から見て肩がブラケットに向かってあまり下がらないこと、前から見て肩が上にせりあがっていることが特徴です。これをやや短めのハンドルステム(70mmほど)と組み合わせました。すると、

  • リーチが長く横から見た肩の下がりが小さいので、ハンドル肩の握れる部分の前後長が長くとれ、この部分のなかで握りかたを微調整しながら走れる
  • 前から見て肩が上がっているので上ハンドルやハンドルの肩部分だけを握った時にも掌がしっくりなじんで痛くなりにくい

といったメリットがありました。なにより独特のフォルムが良い雰囲気をかもしていますね。


このように見慣れたドロップハンドルにもいろいろな形のバリエーションがあり、それに応じた使い勝手の違いがあるのです。さらに各々のハンドルについてセッティングの仕方(当店過去記事)によってまたさまざまな使い勝手・表情が現れてきます。

このようにハンドル周りのセッティングは奥が深く、また工夫の余地がたくさんあります。不満や違和感があるときは検討をぜひおすすめします。

 

 

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