【リオモ連載6】リオモ「タイプR」とワークアウト~最新解析ソフト「LiveVideoSync LVS」は世界を変えるかも?

340W

リオモ・タイプRの使用感は、

ものすごい精密なデータがとれるが、視野が狭く全体像の中でのデータの意味付けが難しい

というものでした。ところがまさにその点を突破する新しいサービス・ソフトウェアがこの1月にリオモから発表されました。それがこの「LVS」です。発売前の2018年11月にその使用感を体験させてもらいました。

うえのGIFアニメは自分が体力テストで340W出しているところです(ちょっとツラい)。

すでに自分の場合、右足の動き(かかとの上下動)がスムーズでないという課題が見つかっていましたが、それをビデオでとらえたのがこれです。

画像の左上に折れ線グラフが幾つか出ていますが、赤紫の目立つ線に注目してください。表題は「R FOOT- Gyr X」となっています。これは右足の甲に取り付けたセンサーの、6系統とれているデータ(ジャイロセンサーによる回転速度3軸+加速度センサーによる加速度3軸)のうち車輪の回転と同じ平面上でのかかと上下動(前方・後方回転)の回転速度を示しています。

グラフの中にある水平線はゼロ値で、これよりグラフが上にあるときは回転速度がプラス(この測定ではかかとが下がる後方回転)、下だとマイナス(かかとが上がる前方回転)を表しています。

くせが明瞭にとらえられた!

水平線より下側の波形にピークが二つあり、上側とは非対称になっています。またクランクの回転を通じて同じような波形が再現されています。つまりこれはある程度固定された動きの癖が捉えられているということです。

前方回転(かかと上げ)の速度が最大になってから(下側の最初のピーク。下図)、

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回転速度がやや減少してゆくのですが一本調子で減速しゼロ値を超えて反転してゆくのではなく、いったん下げ止まってから(下図)、

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少し再加速します(ふたつ目のピーク。下図)。

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そのあと一本調子で減速、そのまま反転して後方回転(かかと下げ)になっていくのです。

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下図の位置でかかと下げ速度最大値。グラフが上側のピークを示しています。

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これまでのコーチングではそもそも肉眼ではとらえられなかったか、熟練したコーチが見て

ペダリングがバタついている、ガチャついている

といった表現でとらえられていた現象がこのように可視化されるのです。今までのタイプR単体で測定してきたDSS(デッドスポットスコア)もおなじ部分をとらえてはいたのですが、ビデオ画像とのシンクロによってはるかに直感的に現象をとらえることができるようになりました。

このことは、

  • コーチにとって問題の把握、改善の検証がしやすくなる、というにとどまらず
  • アドバイスを受ける選手自身にとっても理解・納得しやすい形式の情報であるためこれを活用しやすい(コーチングへの主体的な関与が向上する)

といった効果が期待できます。


LVSはサブスクリプション型のサービスで、ある程度規模の大きなフィッティングスタジオやプロチームでないと利用が難しいとは思いますが、こうしたこれまでとは異次元の測定方法・可視化方法がまさに実用化されつつあるのです。

そしてこの手法はサイクリングだけでなくほかのスポーツへも当然展開されていくでしょうし、その向こうには介護リハビリといった広大な市場が広がっています。これからの世界全体を変えてゆく力を秘めたサービス、思考方法であるのではないでしょうか。

リオモ公式サイト~LVS(別ウィンドウにて)

サイクリスト・サンスポの報道(2019/01/10)

リオモ連載は今回でいったん終了です。ご読了ありがとうございます。

【本連載の過去記事】

第1回~リオモを使えることになった

第2回~使用開始と2分間テスト

第3回~最初の2週間(ワークアウト第10回まで)

第4回~データ蓄積とメニューの発展(ワークアウト第11回から第20回まで)

第5回~トレーニングのとん挫と回復(ワークアウト第21回から第30回まで)